SSEからのリリース等、80年代から活動続けるノイズ・ミュージシャン、古舘徹夫の2012年作!
SSEからのリリース等、80年代から活動続けるノイズ・ミュージシャン、古舘徹夫の2012年作!本作はMGM映画「やけたトタン屋根の上の猫」へのオマージュをタイトルに冠した作品で、古舘のエレクトロニクスと本作、唯一の参加ミュージシャン佐一のギターが交錯したエクスペリメンタルな好内容!逃げ水を見ているかのような捉え所の無いエレクトロニクスと、風変りなブルースを聴いているような心地にさせる気怠いギターの音が素晴らしいですね!オススメ!
試聴1 試聴2
古舘氏からのアルバムについてのコメントです。
「ミシシッピーの夏ではやけたトタン屋根の上の猫が死んで転げ落ちる」という一文がテネシー・ウイリアムズの「やけたトタン屋根の上の猫」にあったと記憶し続けていた。あまりにも古いことだったのでたった20 円で古本を購入し確認してみた。入手したその古い文庫本は、あたかも私の書棚に忘れられてあったかのように日焼けしている。
冗長な本文のなかから、ようやく見つけだせたのはマーガレットとブリックのやりとりで、
マーガレット:私は、やけたトタン屋根の上に追い上げられた猫のような気がしているの、しょっちゅう!
ブリック:じゃあ、飛び降りたらどうだー飛び降りるんだよ、屋根から!猫ってやつは、屋根から飛びおりても、地面にとどけば、ちゃんと四つ足で立っているよ、かすり傷ひとつ受けやしない!
猫は焼け死ににはしない、力強い言葉だった。タイトルは英語の慣用句通りに使われていて、マーガレットがただいらついているだけだ。
七月の後半の夏のつよい日差しの最中に佐一氏のスタジオに汗まみれでたどり着きふたりでレコーディングを始めた。
できれば、いつもと異なった音でできるかぎりのテンションを創り出さなければいけないと思い続けていた私に、彼のギターは私の音を容易に交わしながら、妙にけだるい夏の音を響かせた。タバコを吸いにスタジオから出た時に見上げた青空と白雲と日差しが目に焼けついた。
したがって、このCDに同じタイトルとしたウイリアムズの本文とこのサウンドはまったく関係がない。彼が「やけたトタン屋根の上の猫」で取り上げたホモセクシャルやアルクホーリックやアメリカのタブーに反抗するぐだぐだと続く長い対話に私たちのサウンドは何の影響も受けていない。
ただ、その長い対話はくそ蒸し暑い盛夏のようで、それに共鳴しているのだろう。
ただ、もし誰かが「やけたトタン屋根の上の猫」を上演しようとするときにはこのサウンドはその舞台にぴったりなのではないかと私は勧めることができる。
2012年8月26日 古舘徹夫






