素晴らしいです！ポスト・ケージ世代のアメリカの作曲家／サウンドアーティストのデヴィッド・ダンが1992年にリリースしたＣＤデビュー作『天使と昆虫』の30周年記念エディション！前半の「４９の善き天使の表」は、ルネサンス期の数学者・占星術師ジョン・ディーと霊媒エドワード・ケリーの神秘的な調査に基づく、コンピュータ処理された声のための作品となります！400 年前、天使の言葉というふれこみでディー博士が発明した「エノク語」をテキストにし、天使（＝エイリアン）の声の音響化を試みたオカルティックな実験作！神秘と怪奇を想起させるサウンドが滅茶苦茶格好イイですね！鈍い音の震えが鮮やかに響く様子からは、超自然的な崇高さも感じられますよ！
そして、後半の「混沌と池の創発的な精神」は、水辺に棲む昆虫が発する、人間が耳にすることのできないマイクロ音をデジタルフィールド録音し、人間界での可聴音に調整して提示されたオーディオコラージュ作品！ここでも音を媒介にした異界と人間の接近遭遇が図られるが、昆虫（＝エイリアン）がコミュニケーションする音は「人間が作り出したほとんどの音楽よりも複雑な順序で構成されているかのような」（解説より）凄まじいものとなっております！複雑な音の羅列から浮かび上がる小宇宙が◎！超自然的な天界の天使の名前と、自然界の水中に棲む昆虫という、二つの極端な世界とのコミュニケーションに焦点を当てた傑作です！デヴィッド・ダン自身による解説が掲載された24頁ブックレット（英語・日本語訳）付きです！オススメ！